Friday, May 25, 2007

高速道路の事故

 私の住まいはオリンピアですが、事務所がシアトルにある関係から、毎日片道60マイル(約100キロ)、往復120マイル(約200キロ)を車通勤しています。通勤手段が車しかないのだから仕方がありません。

 通勤で使うのは、俗にI-5(アイ・ファイブ)と呼ばれる、Interstate Highway(州間高速道路)5号線です。北はカナダとの国境の町、ワシントン州ブレインから南はメキシコとの国境の町、カリフォルニア州サン・ディエゴまで一本道で通じている北米西海岸の幹線道路。1381.29マイル、2223キロ。どこまで行っても無料というのがすごいです。

 ところで、I-5で毎日通勤していると、3日に一回ほどの割合で、事故を目撃します。オリンピアからシアトルまでの間に3箇所で事故があるという日もあります。普段でも渋滞する道路が、事故があるといっそうひどい渋滞になるからたまったものではありません。
 事故の大半が後からの追突事故です。日本では考えられないほど、多くの追突事後が高速道路上で起きます。それには大きく言って二つの原因があると思います。一つは車間距離が十分でないということです。前の車がなんかの弾みで急ブレーキを踏んだら、「そら、絶対止まられへんやろう!」と思える車間距離で平気で運転しています。一時、ワシントン州政府が、高速道路上に白い丸を等間隔に書いて、自分がある丸を通過するとき、前方の車が自分の丸よりひとつ前の丸を通過していれば安全な車間距離をとっていることが分かるというシステムをテスト的に導入したことがあります。日本でなら、車間距離がわかるように、路肩に距離を書いた標識があるのと似たようなものです。

 でも、このテストは不評のうちに終わりました。その白い丸に来るとみんながブレーキを踏むから渋滞がひどくなる、という理由からです。車間距離が十分でないから、それに気づけばブレーキを踏んで当たり前だと思うのですけど、州民には受け入れられなかったようです。その結果は合いも変わらず事故ばかりです。

 もう一つの原因は、後方確認の仕方に問題があるように思います。アメリカでも運転免許を取るときには、後方の安全確認を試験科目に入れています。でも、その後方確認の仕方がどうも日本とは違うようです。日本だと、後方から来る車のスピードと自分の車のスピード、あるいは両車の距離などを含めて確認します。あるいは、バックミラーで後方から来る車が一台か複数かくらいは確認します。でも、この辺りの人はどうも自分の車と後方から来る一台の車との距離しか確認していないように思います。そのため、後方から走ってくる車がスピードが出ていれば、車線変更をすれば、当然追突するわけです。あるいは、後方の車はなんとかブレーキを踏んでも、その後の車にぶつけられるということになります。一種の「危険な割り込み」が、自分の権利(入れる距離があいていれば、入ったほうは悪くなく、後から来てぶつけた方が悪い)と考えているからです。実際、追突事故の事後処理などを保険会社の知人に聞いていると、ぶつけた方が分が悪いようです。「そらちゃうやろが。」と思っていますが。
アメリカ人は、ジコチュウの運転者が多いですから、レンタカーなどを運転される際にはくれぐれもご注意を。

Wednesday, May 23, 2007

オリンピアで見かける警察


 オリンピアのパトカーです。別にお世話になったわけではありません。オリンピアでは三種類のパトカーを見かけるというのが今日の話です。
 これはオリンピアの白バイ。ハーレーダビットソンです。クールです。 下がサースン郡シェリフのパトカー。

 アメリカは日本の警察組織と違って、市、郡、州、そして連邦とそれぞれ異なっています。連邦は有名はFBIです。市は市警察、郡は、郡警察、州は州警察と分かれています。オリンピアだとオリンピア市警察(Olympia City Police)、サースン郡警察(Thurston Clounty Sherif)、そしてワシントン州警察(Washington State Patrol)です。州警察だけはワシントン州では、ステート・パトロールといいますが、カリフォルニア州ではハイウェー・パトロール(California Highway Patrol)といった具合に、州によって呼名が若干違います。他にステート・ポリス(State Police)という呼び方があります。

 オリンピア市のパトカーも高速道路でスピード違反を捕まえますが、市域を出ると捕まえる権限がありません。隣町に入っていれば、スピード違反でも見てみないふり。まあ、この辺の人は、たとえ違う市のパトカーであっても、それをフルスピードで追い抜くといったいやみはしませんが。郡のパトカーでも、州のパトカーでも同じです。管轄区域を越えるともう手出しできません。

 これはステート・パトロールの車。かっこいいでしょう。(警察官もかっこいいです。女性警察官は美人です。でも、捕まりたくない!)
 ステート・パトロールにはいろいろな覆面パトがありますから、スピード違反にはご注意を。まず、普通車の大型車や小型車の覆面パト(マークが何もない乗用車)、ワゴン車、SUV車、そしてトラック。(こちらでは、ピックアップといいますが、こんな覆面パトは「ルール違反」だという気がします。)今のところ、スポーツカーの覆面パトは見かけていませんが。

 覆面パトの見分け方。
 まず、アメ車に注意。日本車やドイツ車など「外車」のパトカーはありません。警察は国産愛用です。それと覆面パトでも、日本のように一般車と同じようなプレートナンバーではなく、必ず、最後の三桁がWSPです。ワシントン・ステート・パトロールの略です。このあたり、さすがにフェアーでしょう。まあ、遠くから番号など見えませんけど。

Monday, May 21, 2007

アムトラックの旅

 オリンピアからポートランドまで出かけました。距離はちょうど120マイル。1マイルは約1.6Kmですから、120マイルは192kmです。毎日通っているシアトルの事務所までが60マイルですからちょうど倍の距離。車社会のアメリカ暮らしですから、ポートランドへ行くのもいつもは車です。途中のトイレ休憩もはさんで2時間半あれば十分につきます。毎日の通勤が渋滞のため最低でも1時間半かかることを思えば楽なものです。



 
 でも、今回の1泊2日の旅はアムトラックで出かけました。シアトルのビクトリア駅発午前9時45分のカスケイズ596号は、途中のタコマ駅発が、10時31分。オリンピアのセンテニアル駅発は11時21分で、この日は遅れもせずに時間通り発車しました。(写真は、帰りにポートランドから乗ったカスケイズ763号。)この後、セントラリア駅、ケルソー-ロングビュー駅、バンクーバー駅と停まり、ポートランドのユニオン駅には予定より40分遅れで2時30分に到着しました。アムトラックが遅れるのは常識なんです。

 オリンピアからポートランドまでの料金は、一般車両が片道20ドル(往復で40ドル。往復割引なんてないですから。)、ビジネス車両(グリーン車です。)が15ドルアップで、片道35ドル。(往復70ドルです。)今回は、奮発してビジネスに乗りました。
ただ、ビジネスに乗ると5ドルのクーポンがもらえ、車内で何か買ったり食べたりすれば5ドル割り引きを受けられますから、実際は10ドルアップということです。私はビュッフェで5ドル50セントのアイバースのクラムチャウダーを食べ、50セントだけ払いました。使わないともったいないですから。(せこい?まあ、確かに。)













 
 車窓には、牧場、川などの景色が広がります。でも大半は森を抜けて行きますから、緑のトンネルを走っているような気がします。写真を撮ろうとしても、何せ、右も左も樹木と草ですから、なんのことか分からないのでやめました。でも、一枚だけ写真を載せます。
 ワシントン州の州都とはいえ小さな町のオリンピアの駅と比べると、ポートランドのユニオン駅はものすごく立派です。レンガ造りの駅は、デザインこそ違いますが、古い東京駅を想いおこさせます。天井が大変高く、細かな仕切りがないので、巨大な空間が広がっていて、「すごく広い!」という印象を受けました。
 列車の遅れも含め、3時間ばかりの旅でしたが、車で2時間半走ることを思うと、運転する必要もないし、周りの景色も高速道路よりも目線が低いため、景色が良く見えて快適でした。学生の方や急がない旅人には絶対におすすめのコースです。

Friday, May 18, 2007

ファーマーズ・マーケット

 オリンピア港近くにあるファーマーズ・マーケットです。 屋根の上の風見鶏ならぬ風見豚がここの名物。


 冬の間は閉まっていたファーマーズ・マーケットが四月から開きました。これから夏場は毎週木曜から日曜までの4日間、午前10時から午後3時まで開きます。このマーケットはオリンピア港湾局が建物を建てたものを、サースン郡内の人々が借りて出店しています。果物、野菜、ラベンダーの苗やラベンダー商品、切花や花の苗、牡蠣や貝、魚、肉、パン、ケーキ、手芸品、ジャム、ガラス工芸品などいろいろなお店があります。
 ファーマーズ・マーケットはいわば日本の朝市なのですが、日本の朝市というと何となく情緒がありますが、こちらの朝市は大変明るいのが特色です。冬場と違って陽ざしが強いということもあるでしょうが。

 お店の人もお客もとてもフレンドリーで気楽に話しながら売ったり、買ったりしているのもアメリカならではの雰囲気です。うしろで別のお客が待っていてもいたって平気。お店の人も前のお客もぺちゃぺちゃしゃべっています。だから、お客をまたせるなんてと腹を立てたり、イライラしないこと。お店の人にとっては、目の前のお客さんと話すことがサービスなのですか。自分の番になるまでゆったりと待っているか、話の輪に加わるかするくらいの時間と心のゆとりが必要です。 話題はごく他愛のないものです。この野菜はどうやって食べたら美味しいかから始まって、この前行ったどこどこのレストランは美味しいとか、あなたの店の野菜は有機栽培で安心できる、などといったものですが、この会話がファーマーズ・マーケットでの楽しみの一つです。
 いろいろなお店がある中に、ユキエ・テーラーさんという日本人が出している藍染手芸品のお店があります。彼女は、ビュコーダという人口が500人もいない小さな村で暮らしていて、以前は高校で陶芸を教えていました。今は、家で絵を描いたり染物をしたりしています。ファーマーズ・マーケットにきたら、是非、ユキエさんのお店をのぞいて声をかけてあげてください。この辺りに住んでいるごくわずかな日本人の一人ですし、とても気さくでいい人です。

 もう一つ、楽しいのは、地元のプロとアマとを問わず、いろいろな音楽家が舞台で演奏していることです。この日は、ジャズを演奏していました。売店でホットドッグやコーヒーを買って食べたり飲んだりしながら自由に聞くことが出来ます。たまにはフーセン細工師や手品師、ジョグラーといった大道芸人もやってきて、いろいろと面白いパーフォーマンスを披露してくれます。もちろん、無料です。

 このファーマーズ・マーケットの商品はどれも新鮮で美味しいですが、一番のおすすめは、シー・ブロッサム・シーフーズというお店のウィングと呼ばれるサーモンのカマの燻製です。カマは胸びれのあたりのことですから、英語ではウィング(wing)。でもこの店では、サーモンのカマの燻製を意味します。ところでこのウィングは、店頭には並べられていません。こちらが「ウイングある?」と聞くと、あれば、「ある。」と言って、後のアイスボックスからごそごそと出してくれます。(なければ今度はいついつは入る、と教えてくれます。) 1ポンド(450g弱。8個から10個。)が5ドルです。キングサーモンの普通の燻製が、1ポンド18ドルもすることを考えれば、無茶苦茶安い!その上、これが何ともいえず美味しいのですから、言うことはありません。
 日本人にとって、カマは一番美味しい所。一匹のサーモンから2つしか取れないのですから、大変高いという意識がありますが、ここでは逆です。こちらでもサーモンや、タラ、オヒョウなどを食べるといっても、多くのアメリカ人にとってはあまり馴染みがありません。だから、身の部分が少ない、本当に美味しいところの味が分からない、みんなが買わないから安い、ということです。カマの燻製の方が美味しいといって買いに来る通のアメリカ人はあまりいません。もちろん、ネイティブ・アメリカンの人たちは日本人同様カマの美味しさを知っていますけど。だから、隠しているのかも。オリンピアのファーマーズ・マーケットにお出かけの際は是非お試しください。

Thursday, May 10, 2007

一番美しい季節

 オリンピアを南端としてピュージェット湾で囲まれた地域をピュージェット・サウンド・エリアと呼び、シアトルはその中間にある。この地域が一年中で一番美しく彩られるのが5月だ。

 ワシントン州やオレゴン州は東海岸のメイン州やマサチューセッツ州と同様、四季があると言われる。3月初めあたりから花が咲き出すし、11月ともなれば樹木が紅葉する。しかし、日本で生まれ育った者の感覚からすると日本のようにはっきりとした四季がないように思う。
 それにはいくつかの理由がある。まず、この地域は一年を通じて温度の高低差があまりない。だいたい摂氏で4度から25度くらいの間にあると考えていい。
一番寒い12月から1月頃でも最低気温が氷点下になることはあまりなく、7月から8月の夏の盛りでも温度が30度を超えることはめったにない。6度くらいをさかいにして寒いか涼しいか、18度くらいをさかいにして暑いか暖かいかが分かれるように思う。暦の上での春(3月から5月)の時期でも温度は4度から15度くらいの間で変化する。そして乾季は湿度が大変低く、紫外線が強い。だから、陽がさして温度が上がり18度をこえるような日には、うららかな春というよりはきらきらと光る夏を感じる。













 
 二つ目の理由は、この地域がかなり北に位置しているため、春分と秋分をさかいにして、昼夜の長さが日本と比べて極端に長くなったり短くなったりする。だから、春分を過ぎてしばらくすると日が長くなり、もう夏だと錯覚することになる。昨日は午後8時半頃に山の向こうに夕日が沈んだ。

 最後の理由は、一年のうちの半年間は雨季、後の半年間は乾季という気候によるように思う。10月後半から始まる雨季になると雲が立ちこめ、雨が降り、陽がさすことがほとんどなくなる。一方、4月後半からの乾季になると雲ひとつなく輝くばかりの青空が広がる。だから、この地域の人々にとって、暗い曇天と雨の日は冬、明るい陽ざしを浴びる日は夏という感覚になる。

 話の横道が長くなったけれど、このような気候の地域が一番美しく彩られるのが5月だ。3月頃からクロッカス、パンジーなどが咲き始め、それに続いて、水仙、チューリップなどの花が咲き、梅、桃、桜がいっせいに咲き始める。それが終わると、野草から樹木にいたるまで、あらゆる花が咲き始める。もくれん、おおでまり、藤、ライラック、西洋ハナミズキ、つつじ、バラ、テッセンなどがいっせいに花開く。それが5月。特に、ワシントン州花である色とりどりのシャクナゲが、人家の庭、公園、山、野原などに咲き乱れる様は艶やかの一言だ。この花が終わる6月ごろから、ピュージェット・サウンド・エリアは輝く青空と緑の濃淡一色になる。

(写真説明)

 上から左、右の順に、近所の家と空、シャクナゲ、おおでまりとシャクナゲ、白い西洋ハナミズキ、紅い西洋ハナミズキ、白いライラック、紫のライラック、そして、名を知らない雑草