Sunday, July 6, 2008

連休中に考えたこと

最近、シアトルにある私の事務所でインターンをしてくれている日本人学生やあちこちの大学で出会う日本人留学生を見ていて気づいたことがあります。それは、これらの学生達のほとんどが裕福か裕福ではないにしても、子供を留学させるだけの資力を有している家庭の出身者だということです。例えば、ワシントン大学に一年留学するとなると学費や生活費だけでも百万円単位の費用がかかります。学費が少し安い他の州立大学でもかかる経費は似通ったものです。中には会社勤めをしてお金をため、自費で留学するような人もいますが、このようなケースは例外中の例外といったところです。つまり、親が金持ちかある程度の資力を持った家庭の子供しか海外留学できないわけです。いくら勉強が出来ても、頑張って英語を勉強してもお金がないので留学できない。留学できなければ、昨今の就職ではハンデを負うことになります。ひょっとしたらこのような若い人たちが、今の日本にはいっぱいいるのではないか、定かな統計があるわけではないけれど、いるに違いないと感じています。

 日本が貧しかった頃、そう、戦後すぐの昭和20年代から、島田洋七の「佐賀のがばいばあちゃん」(徳間文庫)で描かれている30年代、一部のお金持ちを除いてはみんな貧乏でした。いや、本当に貧乏だったかどうかは別として、ほとんどの人が、日本は貧乏だ、私は金持ちじゃないと感じ、頑張らなくちゃと思っていました。この時代にアメリカに留学した人たちの大半が苦学生でした。日本で一生懸命勉強して、どこかの奨学金をもらっても、それだけではアメリカで生活できないので、毎日クラッカーだけをかじって生活した人、レストランで皿洗いをしながら大学を卒業した人、あるいは、墓堀人夫までしてアメリカで暮らした人....色々な人の自叙伝や体験記を読むとそんな話が山ほど出てきます。なんでそこまでして頑張れたのか。本人の意思の強さや向学心があればこその話ですが、別の理由としては、そうやって頑張るのが日本でも当たり前だったからでしょう。日本にいる時から貧乏だったのですから。日本でも皿洗いどころか道路現場でモッコを担いで土運びをしたり、港で沖なかしをしたりして、少しでも見入りのいいアルバイトをしていたからです(現在の日本ではこんな仕事は近代化でほとんどなくなりましたし、あっても東南アジアや中近東、南米などからの留学生や不法移民が肩代わりしています)。

 確かに、日本は豊かになりました。でも、日本にも相対的貧乏人といえる日本人は多くいます。特に、グローバリズムの波を受けて、アメリカ流の競争原理が導入され、終身雇用制が壊れ、リストラが一般化した現在では、急速に相対的貧乏人が増えていると感じます。日本政府が最近発表した1,000万人移民受入れが実現すれば、もっと日本人の中でも貧乏人は増えるでしょう。学校では頑張っているけれど、お金がなくて留学できない人たち、リストラで家庭が崩壊し、勉強も面白くなくなってドロップアウトしたけれど、心のどこかでは、何とかしなくっちゃと感じている人たち、そんな人たちでも諦めず、踏ん張ればアメリカにだって留学でき、それを足がかりにして社会でステップアップして行ける。そんな方法を作り出す必要がありそうです。

写真は、South Puget Sound Community Collegeの風景
(上から順に)
・大学内のバス停
・学生会館横に立つネイティブ・アメリカンの木製立像(伝統的な編み笠をかぶっている)
・大学本部の建物
・これ何か分かりますか? 自転車置き場です。色々な方法を思いつくものですねぇ。

4 comments:

Anonymous said...

はじめまして。
6月にニュージャージー州からオリンピアに引っ越してきました。
オリンピアを検索していて、「オリンピア便り」に繋がりました。
私にとってありがたい情報が満載のブログです。
過去ブログをざっと読ませていただきました。
大変ためになることがあり、集中して再読いたします。

西海岸の生活は始めてです。
時々おじゃまさせていただいます。
よろしくお願いいたします。

Unknown said...
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Ginn said...
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Ginn said...

さくら様、

コメントをありがとうございます。オリンピアでは数少ない日本人がひとり増えたことを大変嬉しく思います。でも、日本人の方も何人かはおられます。エバーグリーン大学にも二人日本人教授がおられます(どちらも女性)し、他にも何人かおられます。
それとオリンピアは兵庫県の加東市と姉妹提携をしていますから、姉妹提携委員会の活動もあります。

ブログのどこかにも書きましたが、私の事務所はシアトルにあります。住居はオリンピアのWest Sideです。私の事務所が持っているウェブサイトを2つご紹介します。
http://www.hyogobcc.org
http://www.hyogoclub.org
The Hyogo Clubはいわば日本/親日家サイトです。現在まだ十分に完成していませんが、色々な記事やビデオを楽しんでいただけると思います。

こちらこそよろしくお願いします。