Monday, October 13, 2008

日本の秋

 シアトルの夏はあわただしく過ぎて行きました。気候がよく、日本でも長期の休みが取りやすい、夏の時期は日本から仕事関係の人々や短期のインターンや語学留の学生達が沢山やってきます。私自身、8月に日本へ出張したこともあって、あっという間に夏が過ぎてしまいました。

 その間、いろいろな出来事があったのに、ブログを書く余裕がありませんでした。筆まめに毎日ブログを更新している人たちのことを思うと、なんとも情けない話だけれど.....
 
 先週、私的な急用ができて5日ばかり日本へ行ってきました。短い滞在だったけれど、一日、二日ほどの用事だったので、案外とゆっくり時間を過ごすことができました。日本滞在中はいつも行く駅前のミスドでコーヒーを飲み、顔見知りと話したり、書店や古本屋をのぞいたりする時間もありました。


 私の中で夏は駆け足で過ぎて行ったけれど、日本にも秋の香りが漂っていました。実家の庭には萩が咲き、金木犀の香りがあふれていました。日暮れになると夕顔が咲き始め、近所の公園には、オシロイバナが咲いていて、花弁の蜜を吸いながら歩いた小学生の頃を思い出しました。彼岸花が群れ咲く時期は過ぎていたけれど、水引草が可憐な花をつけているのを久しぶりに見ました。この花を見るのはもう何年ぶりでしょうか。不意に中学生の頃に読んだ立原道造の「のちのおもひに」の一節を思い出しました。

 
「夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を...」             

               詩:立原道造 『萱草に寄す』 ソナチネ

 そう、あの頃は、けっこう文学少年だったのだ...。それはともかく、日本の秋には情緒がある。四季の中で一番すきなのが秋。そういえば、夜明けより暮れなずむ夕暮れが美しい。過ぎ行くもの、滅び行くものにこそロマンを感じるのタイプかもしれない。

 でも、オリンピアに帰ってきて、色を染めた木々を見ても情緒を感じることはない。何故なのだろうといつも思うのだけど...オリンピアの夕暮れも美しい。でも、「夕空晴れて秋風吹き 月影落ちて鈴虫なく...」(故郷の空)という情感がわいてくることはない。鈴虫がいないからかなぁ...コオロギもいないし...

4 comments:

Anonymous said...

よかったです、お元気で。
あれから旅行の日まで、毎日毎日、お邪魔していました。それでもお返事がないので、今度はどうかされたのでは、と気になっておりました。
旅行は9月でしたが、とても楽しく行ってまいりました。
坂道から見えるエリオット湾は早朝も夕方もとてもきれいで何度となく足を止めて見とれてしまいました。
ダウンタウンを海から見るのもいいですね。それも安いウオータータクシーで現地の人に混じってのデッキは楽しかったです。船でもアルカイビーチでも日本人には会わず、まるで、そちらに住んでいるかのような感覚で楽しめました。
日本人に会わなかったのはバラードもそうでした。アメリカの郊外!といった感じで静かでいい町でした。
目立ったのは、何段にもしたクリスピーのドーナツの箱をいくつも持っていた日本人!
こちらではまだよほど時間をずらさないと新宿も有楽町も長蛇の列ですので、あれをお土産にするのかしら、と思ってしまいました。
ダンシングゴートには出会えませんでしたが(シアトルにはないんですね)カフェラドロのコーヒー豆を毎日挽いては美味しく飲んでいます。
今、こうしてコメントさせていただき、また楽しい旅行を思い出せたのもとても嬉しいことで感謝申しあげます。
ありがとうございました。

Anonymous said...

先週日本から帰ってきました。
金木犀の匂いのするところを歩いてきました。
一時期夢中になっていた、立原道造の詩が出てきて嬉しくなり付箋がたくさんついた本を取り出しました。
オリンピアで迎える冬は初めてになります。
明るい時間が短いようですね。
朝は7時半ごろ明るくなり、夜も早くに暗くなります。
初めての場所で経験する季節の移り変わりは、不安ですが、楽しみでもあります。

Ginn said...

hsuさん、

不思議です。少し前にhsuさんにお返事のコメントを書いてアップしたのに、消えてしまいました...きっと、何か不手際をしたんでしょう...自分のせいですね。

hsuさんが多分関東地域に住んでおられるのだろうと、このコメントでは感じるのですが、何故か、アメリカ在住の方だと思っていました。余りに、詳しくシアトルのローカル情報をお持ちなので。だって、アルカイビーチだのエリオット湾だのといった地名は、こちらに住んでいる人でも知らない人がいるくらいですから。

 ところで、ダンシングゴートは本当にローカルで、オリンピアに本店を含め3軒のお店があるだけなのです。これからなのか、これまでなのかは分かりませんが...でも、ローカルだけに味が変わらず、美味しいんです。私が日本へ出張するときにでもお届けしましょうか?

Ginn said...

sakuraさん、

同じ頃、日本におられたのですね。ブログを拝見すると京都などの秋を堪能してこられたようで、うらやましく思っています。

本当に日が短くなりました。夏は10時ごろまで明るかったのに。あまり意識はしないですが、このあたりはやはり、北国なんですね。でも、今年はまだ雨が少ないから、オリンピアでも秋がもう少し楽しめそうです。