Saturday, September 1, 2007

ブラックベリー

 今日から9月。この時期になるとオリンピアではブラックベリーの実が熟します。この辺りで取れるキイチゴには、ラズベリー、ブルーベリー、そしてブラックベリーがあります。キイチゴにはほかにもボイズンベリーやハックルベリーなどがありますが、この辺りでは見かけません。

 ハックルベリーは同じワシントン州でも東のアイダホ州近くのスポケーン辺りが産地です。スポケーンやそこから東へ30分ほど車で走ったアイダホ州の避暑地コーダレーンではいろいろなハックルベリー製品を売っています。シロップ、ジャム、そしてなんと言っても、珍しくて、美味しいのはハックルベリー・ビール。

 近々スポケーンに行きますので、この話は改めて書くことにします。

 オリンピアやシアトル周辺では、ブルーベリーは農園でも栽培されていますが、一般の家でも植えているところが多く、毎年、7月初めから8月終わりにかけて青いきれいな実をつけます。日本では猛暑だった今年の夏も、オリンピアやシアトルでは最高温度が30度を超えることはめったになく、朝晩などは12~3度くらいまで下がることがたびたびありました。この辺りの気候は、信州でも美ヶ原や戸隠といった高原地帯に近いようで、湿気がもっと少ないので、いっそう涼しく感じます。このような気候がブルーベリーには適しているのでしょう。ただ、ブルーベリーの場合は、道端や森に自生していると言うわけではありませんから、農園や家で植えなければなりません。


 でも、ブラックベリーは違います。ブラックベリーとオリンピアで言えば、雑草の代名詞です。上の写真のように、空地などでは密生しています。ある会議の帰り道、シアトルの街を事務所に向かって歩いている時に、旅行姿の女子大生に呼び止められました。彼女はマサチューセッツ州ボストンからシアトルに観光に来ていたようです。手に持っている観光ガイドブックを開きながら、「ブラックベリーはどこへ行ったら見られますか。このガイドブックにはシアトルの見所のひとつだと書いてあるんですけど。」と訪ねられました。この辺りでは、ブラックベリーは、どこに行ったら見られるか、ではなく、どこに行っても見れる、ものです。とは言っても、住宅地でならともかく、ビルの立ち並ぶ街中ではさすがにブラックベリーを見つけるのは難しい。幸いにも、近くの駐車場のコンクリート壁と地面の隙間からブラックベリーが生えている場所を思い出し教えてあげました。

 このように、ブラックベリーはオリンピアやシアトル、いやワシントン州西部ではどこに行っても見ることができます。ちょっと目を離すとブラックベリーは庭にも自生します。非常に繁殖力が強いので、庭に出てきたブラックベリーは放っておくとたちまちその周辺を独占してしまいます。棘があり、根がはっているので、抜くのに一苦労するというやっかいな雑草なのです。もちろん、スーパーで売っているブラックベリーは、販売用に農園で栽培されたものですが、わざわざ買わなくても、その気になれば、バケツに1杯や2杯は簡単に空き地で採取できます。

 6月の終わりから7月はじめに花が咲きます。棘があり、実は黒いくなるのですが、花は白く、かれんです。7月終わり頃から小さな緑色の粒の塊(これが実になります)がつきはじめ、8月中旬頃になると赤く色が変わり、熟してくると黒く変わります。一つひとつの粒が大きくふくらんで、さわるとふわっとした感触を持ち始めたものが食べごろです。

この時期にシアトルやオリンピアなどへ来られたときは、道端のブラックベリーを摘んで見てはいかがでしょうか。

 ブラックベリーがいっぱい実をつける頃、こちらでは小学校から高校まで、いっせいに始業式を迎えます。学校の始まりは、毎年、レーバーデー(休日)の翌日からです。今年は9月3日月曜日がレーバーデーですから、9月4日から学校が始まります。

 ブラックベリーの実がなる頃、子供たちにとっての長い夏休みが終わります。

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