毎日、インターネットで日本の新聞を読んでいて、豚インフルエンザ(新型インフルエンザと呼称が変更された)に対する日本とアメリカの違いに驚かされています。というのは、アメリカでは、今回の新型インフルエンザは通常の季節性インフルエンザと大差がないとの判断から、もう2週間ばかり前から通常の対応に切り替えています。新型インフルエンザという呼称に変わったのも、鳥インフルエンザとは違い、豚固有のウイルスから変化したというよりは、きわめて人型インフルエンザに近いとの判断からです(米国疾病対策センター(CDC)の担当医師は、「今回の豚(swine)インフルエンザのウイルスは豚(pig)のにおいがしない。豚固有のウイルスなら豚のにおいがするはずだ」と記者会見で記者に向かって冗談を言っていました。
こんな冗談もでるくらいですから、日本で起こっているような大騒ぎはまったくありません。学校も正常、店も正常、会社も工場もいつも通り。映画館は週末は満員ですし、人気のあるレストランは1時間待ちの列が出来ています。パレードも各地で花盛り、もちろん、マスクをかけている人なんていません。アメリカではウイルスを持っている重病患者が他人に迷惑をかけないように、出歩くときにマスクをします。でも、重病なのだから、そんなにまでして出歩く人はいませんから、マスク姿の人はいないのです。
今回の新型インフルエンザへの日本政府の対応には大きな問題があると思っています。そんな中、兵庫県の井戸知事は23日にも休校措置を解除する方向で検討するとの記事を見ました。また、大阪府の橋本知事は国に対して今回の新型インフルエンザが低毒性のものであることを認めるように抗議したとの記事もありました。私のふるさとである兵庫県や隣の大阪府に、マスコミや世論の批判が予想されるにも関わらず国に対しても自己の信念に基づいて意見を言うことを辞さないリーダー達がいることはうれしいことです。
それはともかく、今回は、アメリカの実情を少し調べたので、以下にアップしておきます。
米国における新型インフルエンザの対応状況
5月19日(米国太平洋時間)現在、米国では、新型インフルエンザ患者の発生は22州(全米50州)では州内の一部地域に限られているが、患者の発生は全国的に広がっている。特に集中的に患者が出ているのは、アリゾナ州、カリフォルニア州、テキサス州とニューヨーク州である。米国疾病対策センター(CDC)によると、アメリカ国内で確認された新型インフルエンザ患者は、4,469人、死亡者は6人である。
全国集計によれば、入院処置を受けたのは173人で、そのほとんどが5歳から24歳までの若者であった。現在、新型インフルエンザの発生は同時に、かつ幅広い地域で起こっているためCDCは患者数を注視し続ける意向である。
CDCは世界健康期間(WHO)と協力して、新型インフルエンザのウィルス変化を調査しているが、今のところは変化を確認していない。100人のCDCスタッフが各地の現場で働いており、新型インフルエンザ検査器具は全50州と107カ国のラボへの配布を完了した。
米国においては、新型インフルエンザ患者への対策は連邦政府レベルから州政府レベルへ移管されている。
ワシントン州内の確認件数は、現在410人で、シアトルを含むキング郡が291人、スノホミッシュ郡が76人、ピアース郡が18人、クラーク郡が6人、そして他の地方に2人ずつが確認された。
CDCからの総合アドバイス
インフルエンザに似た症状を呈する場合は、自宅療養し、他の人との接触を避けるよう注意する。ただ、症状が深刻な場合は医師に相談すること。家を出る際には、咳やくしゃみによるウィルス拡散を防ぐためマスクを着用し、ティシューは必ずゴミ箱に捨てること。新型インフルエンザに感染した場合は、ウィルスを拡散させないために出来る限り人との接触を避けること。CDCの研究によると、現在のところ、この新型インフルエンザの性質は普通のインフルエンザと同じである。
水と石鹸で手を良く洗う。特に、咳やくしゃみをした後などには励行のこと。アルコール系の消毒薬を、時に応じて使うのも効果的な対策になる。
よく触れる物(ドアのハンドル、ボタン、キーボード、リモコン、家電製品など)をよく消毒することが望ましい。
菌を広めないため、目、鼻、及び口に触れないように注意すること。
人との接触(2メートル以内)を避けること。
インフルエンザらいし症状が現れると、7日間、あるいは症状がなくなるまで家で休むこと。出来る限り家族との接触も避けること。
マスクを着用場合は、マスクを良く取り替え、古いマスクはゴミ箱に捨てること。 マスクは黴菌やウィ ルスを完全に防ぐ事が出来ないので、他の対策も忘れないように気をつけること。
ワシントン州における新型インフルエンザ対策
ワシントン州の保健衛生局は疾病予防管理センターと密接に連携してH1N1新型インフルエンザに対応している。現在、ワシントン州保健衛生局は地域の保健機関と共同で新型インフルエンザが原因とみられる肺炎とインフルエンザの症状の動向を監視している。州の保健衛生の研究員は、特にメキシコやその他の感染拡大地域への渡航者のインフルエンザの発症に警戒している。
渡航者については季節性インフルエンザと同様に手洗い、うがい、マスクの着用、感染の疑いがある場合は自宅療養を勧めるなどの対策が呼びかけられている。
また、インフルエンザに似た症状がある人には渡航歴などを医師に申告するように促している。疾病予防管理センターによると、2009年5月15日付けで、2009年4月27日よから続いていたメキシコへの渡航延期勧告が注意喚起へと格下げされた。しかしながら、疾病予防管理センターはメキシコに渡航する際は十分警戒するように呼びかけている。特に、5歳以下の幼児や65歳以上のお年寄り、体に何らかの障害がある者には渡航の延期を促している。
ワシントン州の学校では、新型インフルエンザの感染が確認された場合、感染拡大の防止策として学級閉鎖も検討されている。学級閉鎖の決定は、欠席した生徒の人数とインフルエンザと思われる症状で診察を受けに来た人数が数日にわたって増加した場合に行われる。また、子ども達に手洗い、うがいを指導するとともに、保護者にインフルエンザと疑われる症状が出た場合は子どもに自宅療養させ、他者との接触を避ける事を勧めている。
企業の新型インフルエンザ対策
職場の衛生環境を整える
職員と手洗い、うがいを促す
手洗い用石鹸、使い捨てタオルや紙、などの準備
体調不良の職員の自宅療養を勧める
感染拡大地域への出張が予定されている職員には特別な配慮が必要
企業が行った対策について職員と顧客の意見交換
長期欠勤が多数発生した場合の対策についての話し合い
レストランの新型インフルエンザ対策
衛生環境の保持
率直に、そして前向きに職員とコミュニケーションをとる
政府の対策と計画に注意を払うこと
ニューヨーク州保健衛生局の最新情報
先週、ニューヨーク市では一つの学校で新型インフルエンザに感染している生徒を確認し、かつ他の学校でも新型インフルエンザに似た症状が見られたため、クイーンズ区にある10校とブルックリン区にある1校を休校とした。ニューヨーク州保健衛生局は教育委員会と協力し、毎日状況を再評価して休校措置について個別的に決定している。昨日、3つの学校が5日間に休校となった。
学校を休校とするかどうかを決定するため、ニューヨーク州は様々な報告に注視している。一つは、インフルエンザに似た症状がでて保健室に行く子供の人数についての報告である。もう一つは学校の欠席者に関するデータである。熱やインフルエンザに似た症状が現れている子供達の人数が急に増加し、数日の間続く場合、その学校の他の生徒達の安全を考えて学校を休校とすることを勧告することになる。
豚肉、又は豚肉が入っている食品を食べても、新型インフルエンザにかかる可能性は全くない。インフルエンザにかかった場合、ウィルスを広めないための最も効果的な対策は自宅療養である。その他の対策は次の通り:
咳やくしゃみをするときは、必ず手やティシューで口をおおうこと。
水と石鹸で手を良く洗うこと。特に咳やくしゃみをした後は励行すること。アルコール系の消毒薬を時に応じて使うのも効果的な対策になる。
人との接触(2メートル以内)を避けること。
症状は深刻ない限り、クリニックや病院に行かないことが望ましい。病院に行かなければならない場合は、行く前に電話で医者と相談すること。
学校、そしてビジネスの管理者は病気を広めないため以下の対策を講じることを奨励する。
休憩室、総合室などを良く掃除して、通風をよくすること。
病気になった人をすぐ他の人から分離すること。
病気になった学生や会社員の自宅療養を促すこと。
衛生対策(手を洗う事、又は咳をする時に口を覆う事)を促進すること。
テキサス州保健衛生局の最新情報
テキサス州保健衛生局は、州民にインフルエンザに似た症状がでたからといって、安直に病院の救急外来に駆け込まないような慎重さを持つよう訴えている。断続的に続いている州内の救急病室の混雑は、DSHS(Department of State Health Services)によると、ほとんどが季節性のアレルギーや単なる風邪の患者が原因であると述べられている。
新型インフルエンザであるH1N1型の初期症状は一般的に華氏101度以上の発熱と咳や喉の痛みを伴う。しかしながら、ほとんどの症例の症状は比較的軽いものであった。
4月にDSHSは、州が継続中の新型インフルエンザの調査でさらに幾つかのインフルエンザの症状に似た症例が発見された場合、Schertz-Cibolo-Universal市独立学校地区にある2つの施設と14校の学校を休校および一時閉鎖とした。すべての課程外もしくは公共の活動は近い将来まで延期されている。
初期の学級閉鎖の目的を果たすため、学級閉鎖が行われている期間中は子ども同士の接触は避けなくてはならない。
カリフォルニア州保健衛生局の最新情報
学校向け
学級閉鎖は、もはやインフルエンザA型(H1N1)が疑われた場合や確認された場合でも勧告され ない。一般的に学級閉鎖は、教員や生徒の長期欠席により学校の機能に重大な支障が及んだときに限り勧告される。
咳や喉の痛みを伴う発熱などのインフルエンザに似た症状がでた生徒や教員は、症状の始まりもしくは急に症状が回復するまで、少なくとも7日は治療目的以外の外出は控えること。
インフルエンザに似た症状が現れた生徒もしくは教員は、他の生徒から即座に隔離し、早退させなければならない。
保護者は子どもたちの健康に気をつけ、教員たちもインフルエンザの症状がないか自己管理をしなけばならない。
病気の生徒は学校以外の施設に集まってはならない。
一般市民向け
咳や喉の痛みを伴う発熱などのインフルエンザに似た症状がでた人は症状の始まりから7日もしくは症状が回復してから24時間が経過しない限り、自宅療養をし、公共の場に姿を現すことを慎むべきである。
すべての人は正しい手洗いとうがいの方法を想起する必要がある。
① 咳やくしゃみをする時は手で押さえること。咳やくしゃみが出るときは、使い捨てのティッシュか、ティッシュがない時は腕にする。使い終わってティッシュはゴミ箱に入れること。
② 特に咳やくしゃみをした時にティッシュを使った際は、頻繁に石鹸で手洗いすること。アルコールの消毒液を使うのを勧める。
③ 目や鼻や口に触れることを避ける。黴菌の繁殖を防ぐためである。
④ 咳をしている人からは距離をとること。できるなら、約6フィート(2メートル)は離れること。
⑤ 特に病気の人が使用している用具、歯ブラシ、タオルなどの共有は避けること。
現時点での情報では、新型インフルエンザが頻繁に流行している地域でのマスクまたはガーゼマスクの着用は効果が期待される。もし急な症状で自宅療養が困難になった場合は、他の人々との接触を考慮して公共の場ではマスクの着用を勧める。もしインフルエンザの患者が公共の場でマスク着用で咳をしていた場合、彼らはそれを公共の場にいる限り着用し続けなければならない
企業向け
咳をしている人からは距離をとること。できることならば、約6フィートは離れること。
特に病気の人が使用している用具、歯ブラシ、タオルなどの共有は避けること。
社員を感染から守るため作業日程や計画を見直す。
従業員にインフルエンザの症状がでた場合は自宅療養もしくは早退を願い出るように勧めること。咳や喉の痛みを伴う発熱などのインフルエンザに似た症状がでた人は症状の始まりから7日、また熱が出ている状態では職場に復帰することはできない。
もし可能ならば、電子メールや電話会議などといった直接人と人が顔をあわせる機会を最小限に抑えるように方針を見直す。
職場全体にティッシュや手の消毒製品が行き渡るようにする。
社員や来客のアルコール性殺菌剤の使用を勧める。もしアルコール性殺菌剤による手洗いが十分に監督されることができなければ、湿ったナプキンで代用することができる。アルコール性でない殺菌剤は効果的かどうか証明されておらず使用すべきでない。
すべての共有の場所を清掃すること。ドアノブ、電気のスイッチ、カウンターの上などの表面に接触しやすいところの掃除の頻度を上げる。EPAと書かれた殺菌剤を使用すること。
施設内にいる人々に「咳をするときは手で押さえる」、または頻繁に手を洗うなどといった人々の注意を喚起する張り紙を入り口、客室、掲示板、会議室、休憩室、お手洗いなど適切なところに掲示する。
可能であれば、職員、ボランティア、訪問者が出入りする扉や入り口の数を制限する。
以上です。
最後まで読まれた方は、「なんや、当たり前のこと書いてるだけやん。普通のインフルエンザといっしょやんか」と思われたでしょう。その通りです。季節性インフルエンザが流行したときも毎回同じことを書いています。
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