Monday, May 25, 2009

新型インフルエンザに見られる日米の違い(完)

 「新型インフルエンザに見られる日米の違い④」の下書きを書いたところで、娘が夏物のカジュアル製品(タンクトップやTシャツなど)を探したいといったので、二人でシアトルの南にあるサウス・センターというショッピングモールに出かけました。外は今日もさわやかな夏日で、メモリアルデーの三連休の終日ということもあってモールは比較的すいていました(みんなどこかへ出かけているからです。帰りの北行きI-5はシアトルへ向けて大渋滞でした)。光が差し込むモールを女子中学生や高校生たちはショートパンツにT-シャツ、ビーチサンダルというスタイルで友人たちと歩いていました。どの顔も明るく楽しそうでした。それを見るにつけ、日米における豚インフルエンザへの対応の格差をいまさらながら感じました。

 日本が豚インフルエンザで大騒ぎしている間に、中国は日本の水源地を市場価格の10倍の値をつけて買収しようとし、

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090512/biz0905122342041-n1.htm

 北朝鮮は第2回目の核実験を行いました。このような時代にあっては、マスコミ報道のみを鵜呑みにせず、自分でその情報の正確さを確認し、分析し、考察する必要があります。国際化時代をいやでも生きなければいけない私たち、特に、これからの日本を担っていく大学生や高校生、中学生たちは若いからといって人に軽んじられることなく、若いからこそ、その力を今からつけていかなければなりません。

 新聞報道によれば、北朝鮮は今回の核実験を「お友だち」には事前に通告していたようです。つまり、「表のお友だち」である中国と「裏のお友だち」であるアメリカです。お友だちには二通りあるのは経験上お分かりになると思います。企業で言えば、系列企業とライバル企業のようなものです。ライバル企業だからといって、一切情報提供をしないかといえばそんなことはありません。時には、相手の新製品の情報を入手するために、自社の情報をある程度提供することもあります。本気で喧嘩や競争をすれば、共倒れになるのを知っているからです。表立ってはライバル(敵・味方)ですが、裏では「持ちつ持たれつ」なのです。北朝鮮とアメリカの関係もこのようなものです。だから北朝鮮は「裏のお友だち」に仁義を切ったわけです。

 共同通信によれば、クリントン国務長官は、「米国は『核の傘』、日米安保条約上の義務の遂行に決意を持っている」と述べたとあります。原文を探しましたが、残念ながら、見つけることが出来ませんでした。でも、クリントン国務長官は「『核の傘』つまり日米安保条約」と二つを同じ意味合いで語ったとは思えません。「核の傘」と語り、言葉を切って、「日米安保条約上の..」と言葉をつないだのでしょう。見事な「だまし」のレトリックです。日米安保条約では日本を守るためにアメリカが戦略核を使用しなければならないなどとは一切明記されていませんから、日本が他国から核攻撃を受けても、アメリカがその国に核攻撃で応戦しなければならない義務などありません。まして、発言者がヒラリー・クリントンですから、言わずもがなのことです。
 でも、日本のマスコミでこのような事実(日米安保条約上、アメリカは日本を守るために戦略核を使用する義務を負っていないということ)をクリントン発言と同時に掲載したところはありませんでした。

 日常生活の中で、必要な情報を自分で探しだすのは時間がかかり、骨が折れることです。そして、いろいろと考えることはなかなかしんどいことです。でも、国際化が著しい時代の中にある現在の日本ではそれが必須のことになって来ています。

 豚インフルエンザのような些細なことに惑わされず、チャンスがあればアメリカや海外に出かけ、自分の目で見、耳で聞いて、これからの日本の行く末と一人ひとりの未来について大きな視点で眺めてほしいと願っています。

 

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